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​Profile

ヴァイオリン中瀬梨予(なかせりよ)
蒲郡市出身。3歳よりヴァイオリンを始める。
名古屋市立菊里高等学校音楽科、愛知県立芸術大学音楽学部器楽専攻弦楽器専攻卒業。同大学大学院音楽研究科博士前期課程修了。

在学時に、中部フィルハーモニー交響楽団への入団が決まり、2009~2013年同楽団の第1ヴァイオリン奏者として在団する。

2010年第11回大阪国際音楽コンクール・アンサンブル部門入選。
更なる研鑽のため、「劇場で働く」という夢を叶えるため、2011年夏に渡独を決意。ドレスデン、マインツ、トロッシンゲンの3つの音楽大学全てに合格し、その中からドレスデン国立音楽大学大学院に入学。2014年、同大学院にて、マスターの称号を審査員満場一致で取得。在独中、ドレスデン国立歌劇場元コンサートマスターのラインハルト・ウルブリヒト教授の推薦によりリサイタルを行う。ドレスデン・アンネン教会やドレスデン市近郊の教会コンサートに、コンサートマスターや客演奏者として多数出演。念願であった劇場勤務では、ドレスデン喜歌劇場、カールスルーエ・バーデン州立歌劇場でヴァイオリン奏者として務める。ドイツ国内多数の劇場、フランスやチェコなど国内外の劇場での演奏活動やオーディションに挑戦する傍ら、国々の空気やそこに生きた芸術家たちの軌跡を学ぶ。
2015年夏に完全帰国。帰国後は、ソロをはじめ室内楽や愛知や東京のオーケストラ客演奏者として活動。中瀬ヴァイオリン教室で講師として、またはアマチュアオーケストラのトレーナーとして後進の指導や音楽の普及に積極的に努めている。
留学中に身につけたドイツ語を活かし、海外赴任や留学などに向けたドイツ語レッスンや、エマニュエル・パユ氏(フルート)、ライナー・キュッヒル氏(ヴァイオリン)の公開レッスンにてドイツ語通訳を務める。これまでに、ヴァイオリンを松野友子、北垣紀子、福本泰之、デヴィット・ノーラン、イゴール・マリノフスキー、島原早恵の各氏に師事。
Trio Reson(トリオ・レゾン)メンバー。岡崎音楽家協会会員。

2016年2月、trio aimois 1st アルバム『START LINE』(2枚組)をフロレスタンレーベルより発売。

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留学中の写真(プロフィールやドイツ語会話で使用)_200509_0021.jpg

​ドイツ留学経験

ドイツは第二の故郷であり、留学経験は人生の大きな財産となりました。

留学先になぜドイツを?「オペラ劇場で演奏したい!」という夢を叶えるべく、どの国よりも多くの劇場を持つドイツを留学先に選びました。

人との繋がりも語学力も「0ゼロ!」からのスタートでしたが、相談にのってくださった方々の助けで、道はみるみる開け、航空券とヴァイオリンを背負って、いざドイツへ!

ホームステイ先では、日本人とドイツ人のご夫婦のもとで約2ヶ月大変お世話になりました。

Vorspiel(また説明します)と受験を経て、志望した3つの大学全てに合格し、ワーグナーやR.シュトラウスが数々のオペラを初演したドレスデン国立歌劇場のある町のドレスデン音楽大学に入学を決定。

合格が無事に決まった後は、ドイツ語学校のゲーテ・インスティトゥートで約一ヶ月の集中コースに参加。クラスメイトに恵まれ、フランス、イタリア、スペイン、ブラジル、ギリシャ、中国と、ここで一気に世界が広がった感じでした。同じドイツ語学校に通う日本人の友達もでき、クラスメイト同様、帰国後の今でも交友は続いています。

約3ヶ月のドイツ滞在後、一旦日本へ帰国し、荷物などを送り、再びドイツへ。

9月の入学と同時にドイツ留学が本格的にスタートしました。

取り巻く環境全てが目新しく、怖気ずくどころか、刺激的な毎日がたまらなく楽しかった。入学手続き、住民登録、銀行口座開設、保険入会、学生寮への入居など、生活するにあたっての手続きには辞書片手に走り回り、ここでも大学の日本人の先輩や親切なベトナム人の友達に助けてもらい、全てを滞りなく終えることが出来ました。

留学する前から、留学中も、そして帰国した今も、人に生かされている事を実感します。一人では何もできない、様々な人が手を差し伸べてくれるからこそ、道を切り開いていくことができる。人とのご縁に、私と知り合ってくださった全ての人に感謝でしかありません。

 

ドイツでの生活は、楽しい事も沢山、辛い事も悔しい事も沢山。でも、全部ひっくるめて充実した日々だったと改めて思います。どの瞬間も無駄ではなかった。

「オペラ劇場で働きたい!」の夢を叶えるべく、早々にオーディションに挑戦しました。同時進行で、技術的にも、音楽的に足りない部分を、大学の先生や劇場の団員さんのもとでのレッスンで修正しながら、オーディションに挑戦する日々。結果を結ぶ事よりも、力不足を痛感する事のが多かった。その中でも、何度かチャンスを得て、ドレスデン喜歌劇場と、カールスルーエ・バーデン州立劇場でお仕事をさせてもらえるまでになりました。

ドイツ語会話はというと、それはもう苦労の連続でした。先生との意思疎通が噛み合わず、厳しい状況にもおかれました。でも、人との会話に怖気ずく事はありませんでした。上手に話せないけども、でも話したい!そこには「ドイツが大好き!」初めてドイツに足を踏み入れた時から、変わる事のないこの思いがずっとあったからだと思います。

ドイツでの生活が長くなるにつれて、友達も増え、劇場のオーケストラで働くようになってからはドイツ人の若者からベテランの方まで幅広い年代の方と話すようになり、ドイツ語力がぐんぐん伸びていきました。有り難かったのが、私が文法を間違えていると「りよ、もう一度言ってごらん。ゆっくりでいいから。…そこはね…」と丁寧に教えてくださる方がいた事。ただ日本でも同じですが、若い子ほど会話のスピード感も速く、講習会などで毎晩食事を共にする時には、レッスン以上に疲れた記憶があります。ここまで言うと、さぞドイツ語が達者になったように聞こえるかもしれませんが、上には上がいるというか、語学に終わりはないというか、最後まで「私のドイツ語はまだまだだなぁ。んー、今なんて言ってたか分からん!」と、語学の難しさを最後まで感じておりました。ただ、留学当初の先生とのわだかまりは数年後の会話で分かり合えることが出来ました。「りよ、ドイツ語上手くなったね。」の先生からの言葉、嬉しかった。

 

帰国後は、ドイツ語を話したい!忘れたくない!の思いが強く、ドイツ語会話教室を始めたり、ご縁を繋いでいただいてドイツ語圏の演奏家の方々との食事会に参加させていただいたり、機会を頂戴し、ウィーンフィル・ベルリンフィルの方々との合同演奏会に参加させていただいたりと、ドイツ語を話す機会にも恵まれました。普段は日本語を話す時間のがもちろん多いので、ドイツ語が戻ってくるまでに少し時間も必要、語彙も中々出てこない、これはやばいぞ!勉強せねば!と思っていた頃にお話を頂いたのが、レッスン通訳のお仕事でした。

 

2016年ウヴェ・コミシュケ先生(トランペット/愛知県立芸術大学レッスン内での通訳)

2017年エマニュエル・パユ先生(フルート/公開レッスン)

2018年レオナード・ソロコフ先生(ヴァイオリン/公開レッスン)

2019年ライナー・キュッヒル先生(ヴァイオリン/公開レッスン)

 

留学中、日本からVorspiel に来た子たちのレッスン通訳をしたり、家族や友達がドイツへ遊びに来た際には観光通訳もしてましたが、日本で、ドイツ語の全く分からない子へのレッスン通訳、プラス公開レッスンともなると聴衆の皆様へ向けての通訳。これは苦労と緊張と冷や汗の連続でしたが、その分大変勉強になりました。

 

通訳するにも、ドイツ語の楽しさを伝えていくにも、演奏家として音楽を届けていくにも、音楽の楽しさを伝えていくにも、勉強と努力をし続けて自分自身をアップデートしていく事が大切だと思っています。

留学経験から人生の財産となっているものは、

「人への感謝」「何に対しても一生懸命取り組む事」「不屈の精神」あげ出したら切りがありませんが、限られた期間で、ヨーロッパという一つの州であっても、世界を感じ、日本の良いところも悪いところも見つめ直す事ができた事だと思います。

 

2020年の新型コロナウィルス感染症により、以前のように留学や、海外を訪れる事が難しくなってしまいましたが、留学を考えている子がいたら是非背中を押してあげたいですし、海外赴任で行かれる方には生活の不安要素を取り除き、ドイツでの生活の楽しさを伝えたいですし、私もまた第二の故郷ドイツを訪れたいと思います。

ドイツ留学の思い出は色あせる事なく、考えるだけで気持ちが高鳴ります。それくらい私はドイツが大好きです!

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